特集 —そこが知りたい—消化器外科手術のテクニックとコツ96
小腸・大腸
潰瘍性大腸炎の回腸肛門吻合術—W嚢形成
畠山 勝義
1
,
武藤 輝一
1
Katsuyoshi HATAKEYAMA
1
,
Terukazu MUTO
1
1新潟大学医学部第1外科
pp.816-818
発行日 1988年5月30日
Published Date 1988/5/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407210039
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潰瘍性大腸炎に対する自然肛門温存術式のひとつとしての回腸嚢肛門吻合術は,①将来の炎症の再燃や悪性化の母地となる危険性のある大腸粘膜をすべて切除できる,②排便機能は比較的よく維持される,③したがって患者のquality of lifeは良好である,などが特徴として挙げられている.回腸嚢は作製法により,J型,S型,lateral ileal pouch型,W型に分類されるが,われわれの施設では1984年より最も耐容量の期待できるW型を主に作製して回腸肛門吻合を行っている.現在まで分割手術が完成したものは13例であるが,術後2〜3ヵ月経過すると排便機能が改善し,術後12ヵ月で平均1日排便回数が3.7行となる.Soilingはほとんど認められず,また現在のところpouchitisの術後合併症は経験していない.
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