文献抄録
病的肥満に対する胃分画手術後の体組成と食事摂取の変化
下山 豊
1
,
吉野 肇一
1
1慶応大学医学部外科
pp.633
発行日 1987年5月20日
Published Date 1987/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407209690
- 有料閲覧
- 文献概要
病的肥満は100ポンド(約45kg)以上の体重超過があり,薬物・食事および運動療法に抵抗性の状態である.病的肥満は糖尿病や高血圧などの合併症を引き起こすので,病的肥満に対して根治的ともいえる胃腸管手術療法が1950年代後半に始められた.当初行われた小腸バイパス手術は体重減少に関してはかなりの成果を収めたものの,腎結石,下痢,栄養吸収障害,栄養不良,肝障害などの障害を起こすため現在はほとんど行われていない.次に胃空腸吻合による胃バイパス手術が行われるようになつたが,これにも遠位の胃や十二指腸がバイパスされるために種々の吸収障害が認められ,その後胃分画手術(gastric partitioning)が行われるようになつた.
Raymondらは13人の病的肥満患者に対して胃分画手術を施行し,術後3カ月,6カ月,1年の時点での体組成と食事摂取の変化を測定した.術前の患者の体重はいずれも標準体重の160〜250%であり,患者はすべてユタ大学病院に入院の上,1人の外科医に同一の手術を受けた.体組成に関しては,total-body γ-ray spectro-metryによる体内40Kのγ線量から脂肪以外の組織量を推定し,体重とこの値との差を脂肪組織量とした.食事摂取の記録はオハイオ州Nutrient Analysis Data Baseに基づいてコンピューター分析され,その中から蛋白質と熱量の摂取量を本研究に取り上げた.
Copyright © 1987, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.