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文献抄録
実験的腹膜炎に対する経横隔膜吸収阻止による生存率の改善
Increased survival from peritonitis after blockade of transdiaphragmatic absorption of bacteria
高橋 孝行
1
,
石引 久弥
1
1慶応大学医学部外科
pp.1817
発行日 1986年12月20日
Published Date 1986/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407209597
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腹腔内の細菌はリンパ系への経横隔膜的吸収により循環血液に侵入しうる.この過程が腹腔内から細菌を片づけて宿主を防御するのか,危険にするのかを決定するために,実験的腹膜炎を使つて吸収阻害効果を検討した.
Sprague-Dawley雄ラットを開腹,盲腸と上行結腸に穿孔をつくり,糞便性腹膜炎を誘発した.経横隔膜吸収阻害には高濃度血小板血漿腹腔内注入法,または横隔膜腹膜面擦過法を採用した.ラットを5群にわけ,3〜4mlの高濃度血小板血漿を閉腹直後に注入した群(第1群,n=68),低濃度血小板血漿を同様に注入した群(第2群,n=56),穿孔3〜4週間前に横隔膜擦過を行つた群(第3群,n=56),穿孔3週間前に開腹のみ行つた群(第4群,n=55),結腸穿孔のみ行つた群(対照群,n=77)とした.穿孔3時間後,各群の動脈血の好気性および嫌気性培養を行つた.ラットの生存率は24時間後に判定した.第1群と第3群ラットの半数は2週間後に屠殺し,腹腔内滲出液,膿瘍,癒着を検索した.各群の生存ラット数,好気性・嫌気性血液培養陰性ラット数を対照群のそれと比較し,χ2検定により有意差を解析した.
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