Report from Overseas
門脈圧亢進症の手術成績について
李 成日
1
,
姜 惟龍
1
,
許 光根
1
,
李 乃新
1
,
崔 東煥
1
1中国延邊医学院附属病院第1外科
pp.805-808
発行日 1985年6月20日
Published Date 1985/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407209042
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はじめに
現在,中国における門脈圧亢進症に対する外科治療方針としては,脾摘大網後腹膜固着術や,シャント手術が採用されることが多いが,一方ではHassab手術や直達手術も施行されている1-10).しかし,これらの手術適応,手術時期,術後止血効果,遠隔成績などについてはそれぞれ差異が見られ,現今議論の多い命題となつている.日本では選択的シャント手術や直達手術の症例が増加する傾向にあるようである11-15).死亡率の高いpoor risk例については,近年の内視鏡的硬化(塞栓)療法16-17)が注目されている.
ひとつの施設においても,多様な術式の転換が見られ,検討が続けられていることは,本症治療に未解決の問題として各術式に種々の短所があることを示している.要するに食道静脈瘤に対する理想的手術としては,手術侵襲が可能な限り小さく,肝機能に対する影響が少なく,低死亡率で,術後成績の向上を期待しうることが要求される.そこでわれわれも経時的に術式の転換を試み,過去の脾摘大網後腹膜固着術や脾腎静脈吻合術から,最近のHassab手術に粘膜外胃離断術を加える術式に切替えてきた.本稿ではわれわれが従来行つてきた門脈圧亢進症症例について,その手術成績を中心に述べてみたい.
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