特集 がん・画像診断の死角
食道
掛川 暉夫
1
,
幕内 博康
2,3
,
磯辺 真
1
,
岩本 元一
1
1久留米大学医学部第1外科
2慶応がんセンター
3東海大学医学部外科
pp.9-35
発行日 1985年6月20日
Published Date 1985/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407209022
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はじめに
食道癌の診断にはX線検査と内視鏡検査が,今もつて最も信頼のおける検査法であり,特にルゴール染色などに代表される色素内視鏡検査を行えば,今や上皮内癌の診断も可能となつてきた.しかし食道癌の治療に携わるわれわれ外科医にとつては癌の診断のみならず,術前に腫瘍の伸展の範囲,外膜浸潤の程度やリンパ節転移,血行性転移の有無などの情報を基に,手術適応の有無や手術術式,術前合併療法などの選択を的確に判断する必要があり,従来,術前のスクリーニング検査として血管造影やリンパ管造影などが合わせて行われてきた.一方,CT,超音波検査などをはじめとするME(Medical Engineering)機器の飛躍的進歩には目をみはるものがあり,最近では超音波内視鏡やNMR-CTなども出現しその確立が期待されている.またこれらの画像診断法には非侵襲的な検査であるという共通した長所を持ち,術前のスクリーニング検査として適切であり,血管造影などの侵襲的な検査法の地位は次第に低下している.
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