特集 大腸切除と機能温存
巻頭言
大腸切除と機能温存
土屋 周二
1
1横浜市大医学部第2外科
pp.1664-1665
発行日 1984年12月20日
Published Date 1984/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407208877
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- 文献概要
大腸切除は良性・悪性の多くの大腸疾患に行われるので,切除の部位・範囲によつては少なからぬ機能障害を招くことがある.これは疾患の性質上止むを得ないこととして一般に容認されており,特に悪性疾患の根治手術では広範な切除・郭清により根治手術の成績を向上させることに主眼がおかれているので,機能障害の問題はいく分あと廻しになつていたと思われる.しかし外科治療にあたつては治療効果を下げない範囲でなるべく術後障害を少なくするようにしなければならないのが原則であり,大腸切除についても,あらためてこの点を重視して考えて行く気運が高まつている.
この特集でとりあげられているテーマは,大腸切除と機能温存についてである.温存とは大切に保存しておくという意味であるが,大腸の切除が行われる場合,全く機能障害がないように「機能」だけをわきによけて切除することは無理であろう.ここでいう「機能温存」とはどこまで術後成績を下げずに機能障害が防げるか,または機能障害を最少限にとどめることができるかという観点に立つた比較的のものである.そしてこの特集では各専門家によつてこのような目的に沿う手術の適応や手技が開陳されているのである.
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