臨時増刊特集 図解 診療基本手技
Ⅲ 救急手技
C 緊急穿刺法
41.腹腔穿刺法
鈴木 宏昌
1
,
小林 国男
1
1帝京大学医学部附属病院・救命救急センター
pp.2338-2339
発行日 1986年12月15日
Published Date 1986/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402220700
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試験的腹腔穿刺は1906年にSalomonらによって臨床応用され,初期は腹膜炎の鑑別診断に用いられた.腹部外傷による腹腔内出血の鑑別に用いられるようになったのは1940年代からで,Wrightらは肝破裂の診断に応用し現在も広く行われている4分画穿刺法(four quadrant par-acentesis)を確立した.
1960年代に入ってより正診率が高く鋭敏な腹腔洗浄が普及し,腹腔穿刺単独よりも腹腔洗浄を合わせ評価されるようになってきた.腹腔洗浄は鋭敏過ぎてfalse positiveも少なくないが腹腔穿刺では判定困難である消化管損傷や横隔膜損傷,膵損傷の鑑別に有用である.主に腹部外傷における腹腔内出血の診断を目的とした腹腔穿刺法について適応と手技を示す.
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