Japanese
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特集 肝臓癌のTAE療法
病理からみたTAEの効果
Pathological aspects on TAE therapy
神代 正道
1
,
中島 敏郎
1
Masamichi KOJIRO
1
,
Toshiro NAKASHIMA
1
1久留米大学医学部第1病理
pp.979-985
発行日 1984年7月20日
Published Date 1984/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407208759
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はじめに
肝細胞癌(肝癌)は血清α-fetoprotein(AFP)の測定や肝シンチグラフィー,CT,血管造影,および超音波検査の普及1,2),肝癌高危険群の設定3)などにより,比較的早期に発見される症例がふえたため,手術例が非常に増加している,しかし,肝臓は代償機能の旺盛な臓器であるため,臨床的に症状発現が遅く,まれではあるがAFP低産生肝癌などの問題もあり,依然として初診時,すでに癌が進行しているものが多い.また,たとえ早期に肝癌を発見しても,進行した肝硬変の併存があつたり,癌結節が多発していたり,門脈腫瘍塞栓による肝内転移がすでにあつたり,手術療法の適用がなくなつている症例には,肝動脈,門脈枝結紮術,抗癌剤動脈内注入法,全身的抗癌剤投与などが試みられているが,治療成績に関しては満足すべき効果をあげていない.1976年,Goldstein,Wallacら4)によりembolization therapy(TAE)が行われ,この療法がわが国において肝癌の保存的治療法として注目をあつめるにいたつたのは山田らの業績5,6)におうところが大きい.著者らは過去10数年にわたり,肝癌の血管構築の特徴について研究しているが8),今回,TAE療法が施行された剖検例,手術例について血管系からみたTAEの効果について病理形態学的に検討した.
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