特集 〔Q & A〕術中トラブル対処法—私はこうしている
食道手術
食道固有動脈根部より出血した
鶴丸 昌彦
1
,
秋山 洋
1
1虎の門病院消化器外科
pp.754
発行日 1984年6月20日
Published Date 1984/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407208656
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胸部食道では食道の動脈は気管支動脈の分枝,肋間動脈の分枝および大動脈より直接分枝する食道固有動脈がある.食道固有動脈は3〜7本存在するとの報告もみられるが,通常は上枝,下枝の2本がみられるのみで,3本以上存在することはむしろ少ない1).食道固有動脈は大動脈の前面やや右側より分枝し,上枝は第6〜7胸椎付近,下枝は第6〜7胸椎椎間板のレベルで大動脈より分枝する.この食道固有動脈を根部で損傷すると,あるいは大動脈を損傷すると大出血を起こすことは当然のことである.まず,指で出血をコントロールし,体勢を整えて血管縫合を行わねばならない.出血のコントロールの方法としては図に示すように指あるいはツッペルで圧迫止血する方法,大動脈にpartial clampをかける方法,血管内バルーンを挿入して出血をコントロールする方法がある.
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