特集 〔Q & A〕術中トラブル対処法—私はこうしている
甲状腺・上皮小体手術
上甲状腺動脈がひつこんでひつぱれない
三村 孝
1
1済生会中央病院外科
pp.746
発行日 1984年6月20日
Published Date 1984/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407208649
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一般にバセドウ病など甲状腺の良性疾患の手術は,下えり状切開(low collar incision)で皮膚切開を行い,広頸筋下を剥離し,肩胛舌骨筋を露出,胸骨甲状筋を鈍的に縦方向に開離して甲状腺に達する.甲状腺にミューゾー鉗子をかけて下前方に牽引し,甲状腺上極を創外に引き出すようにした上で上甲状腺動静脈を甲状腺上極に分枝した部で結紮切断している(図1).したがつて甲状腺動静脈は過伸展した位置で切断される.もし動脈にかけた鉗子や,結紮系がはずれると,ひつこんだところで出血し,止血は困難である.悪性腫瘍の手術では,皮膚切開も高く,前頸筋も切断し,直視下で上甲状腺動脈の処置を行うので,このような事故は少ない.
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