Japanese
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特集 よくみる肛門部疾患診療のポイント
後障害の予防と対策
Postoperative complications and their treatments in anorectal diseases
荒川 広太郎
1
Kötaro ARAKAWA
1
1荒川クリニック
pp.67-72
発行日 1983年1月20日
Published Date 1983/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407208216
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はじめに
肛門部疾患に限らず外科的治療には多かれ少なかれ苦痛をともなうものである.これを患者の側からみると,手術後の苦痛を何らかの異常経過と結びつけて,悲観的に考える傾向がある.「出血が多いが大丈夫だろうか」とか「どうも痛みの様子からして手術がうまくゆかなかつたのではあるまいか」など,漠然とした不安に悩むものである.著者の経験では肛門手術後の患者のほぼ半数の人々が,この種の強い不安を持つていると推定される.
一方医師は,これらの症状の大部分を単なる一過性の生体反応であり,患者の杞憂であると受けとめている.そして患者に,その不安は術後の治癒過程の一症状に過ぎないことを繰り返し説明し,苦痛を解消しようと努める.このように患者と医師のコミニュケーションが,術後の不安を取り除き理解と協力が得られる方向に進む場合は,患者の苦痛が少なく実際の障害もわずかで,術後の経過は概ね良好である.
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