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特集 乳癌の縮小根治手術
小胸筋切除・大胸筋温存術式の適応
私はこうしている
Indications of the modified radical mastectomy of Patey
深見 敦夫
1
Atsuo FUKAMI
1
1癌研究会附属病院外科
pp.925-930
発行日 1982年6月20日
Published Date 1982/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407208055
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はじめに
乳癌根治手術症例の5年,10年生存率を癌研の症例でみると,表1のごとく次第に向上して,5生率は1966〜1970年81.4%,1971〜1975年82.4%,10生率は1966〜1970年70%である.この成績向上の要因の大部分は表2のごとく,Stage Ⅰの症例の増加によつている.このように,手術後,救命され,長期にわたり通常の社会生活を営み得る症例の増加の結果,乳癌の外科療法の考え方が,ただ単に救命だけに焦点をしぼるのではなく,術後の患者の生活の質的な方面,すなわち,術側上肢の運動,浮腫あるいは胸壁の著しい変形の軽減,さらに,将来の乳房再建術の難易も考慮した手術術式が,とくに早期乳癌治療症例には配慮してもよい時期に来ていると考えられる.欧米では5),今世紀の半ばごろより,定型乳房切断術以外の縮小手術が芽生えて来たが,本邦で,これらの術式に関心が向けられたのは最近である.癌研外科では1974年より,trialとして積極的に大胸筋保存根治乳房切断術を採用して来て,表3のごとく,1980年には70.3%の症例にprimary caseの根治手術として本手術を行うに至つた.今回はこの術式の中,Patey手術について,われわれの行つている方法を報告したい.
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