特集 外科外来マニュアル
私の治療
一般
ケロイド
若井 淳
1
1東京警察病院形成外科
pp.794-796
発行日 1982年5月20日
Published Date 1982/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407208031
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□概説
ケロイドとは,何らかの皮膚損傷後,扁平に隆起し,時として,蟹足状の突起を生ずる特異な,結合織の肥大増殖症をいう.創傷,熱傷,毛嚢炎,BCG注射のあと,一定期間を経て,自然に隆起し,円形,楕円形,線状形,蟹足形,葺状形,不定形等,種々の臨床形態を呈するに至る.部位としては,顔面,上肢,背部,頸部,胸部,殿部,下腹恥骨部,大腿の順に多く見られる.ケロイドは,軟骨様に硬く,周囲との境界は鮮明で,通常,下部組織とは可動性を呈する.
自覚症状としての掻痒感,痛覚異常は,新しいもの程顕著で,この掻痒感は,発生後3年位までかなり認められるが,痛覚異常は,発生後2年位で軽減して来るのが通例である.ケロイドは古来,その病態から,特発性ケロイド,瘢痕ケロイド,肥厚性瘢痕に分けられていたが,特発性ケロイドといえども,何等かの皮膚の損傷によつて起こるものであり,発生の様相が腫瘍の如くで,これに体質的素因が大きな役割を演ずるものと考えられ,最近では,真性ケロイドと呼ばれるにいたつている.瘢痕ケロイドと,肥厚性瘢痕は,増殖した結合織の量的な差と考えられるので,一括して,瘢痕ケロイドと呼ぶ様になつている.
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