特集 外科外来マニュアル
私の治療
一般
凍傷
和田 寛治
1
1長岡赤十字病院外科
pp.792-793
発行日 1982年5月20日
Published Date 1982/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407208030
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□概説
凍傷は,塞冷によつて発生する傷害の総称である.すなわち,傷害は,その温度,曝露時間,個体各々の差によつて左右され,いわゆる凍瘡(pernio)から壊死までの各種病態を生ずる.
1.全身的寒冷障害
歴史的にはいろいろな事実として報告されているが,現在では山岳事故,水難事故等で散見される.一般的に障害時の体温によつて3段階に分類される.
a) 軽低体温状態(体温34。C前後まで)
いわゆる低温障害で悪塞戦懊を伴い,全身生体防衛反応の結果と考えられる.
b) 中低体温状態(34。C〜27。C)
意識障害,痙攣,心不全等を惹起し,基礎代謝が低下する.低体温麻酔への応用はこの状態である
c) 超低体温状態(体温27℃以下)
Vital signは消失し,いわゆる仮死状態にあることをいう.当院では,雪融け水で溺水し,来院時体温25。C以下の2症例の蘇生に成功している.
2.局所的寒冷障害
障害を受けた局所変化の原因として,次の2点が考えられている.
a)循環障害,動脈の攣縮と組織内のAnoxia静脈轡帯と組織液の増大で浮腫,炎症反応が出現する.
b) 組織に対する直接障害
低温に対しては,組織によつて抵抗性が異なり,特に血管,神経,筋組織は低温に弱いとされている.障害の程度は,温度と曝露時間が直接の函数となり得る.最近普及しているCryosurg−eryは,この作用を治療面で利用したものと考えられる.
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