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□概説
疣贅とは,表皮が限局性に過剰増殖をなすもので,ウイルスによつておこる事が確かめられている.実地診療上次の項目に分けられる.
(1)尋常性涜贅(図1)
帽針頭大から,大豆大ないし蚕豆大の円形または,不規則多角形,表面平滑または穎粒状,色は正常皮膚色,黄褐色ないし灰白色を呈する硬い半球状に隆起する結節で,手指,前腕,顔面,頭部等に単発ないし多発する.
(2)糸状涜贅および指状涜贅(図2,3)
顔面,特に有髭部,頭部被髪部,側頸部に好発し,成人に多く,小児には殆んど生じない.小腫瘍の先端が比較的とがつた多数の乳頭様突起に分れ,それぞれ先端は,増殖した角質によりやや硬く,光沢を有するが全体としては,他の種類の涜贅より軟かい.(いわゆる鼠の手)両者ともよく類似しているが,前者の方が全体として細かく,乳頭の数も少なく,より軟かい.
(3)足瞭症贅(図4,5)
多くは足蹴に,時に手掌に発生するもので,特に外力の加わる瞭骨,骨頭部,趾の屈側,踵等に好発する。常時加わる圧力のため,皮膚面より隆起することなく,厚い角層を有し鮮明な角化輪を伴う.しばしば圧痛を訴え,臨床的には勝月氏または鶏眼と混同されるが,表面の角層を除去すると,この下に表皮乳頭状増殖を認め得るので,鑑別は必ずしも困難ではない.
(4)扁平涜贅(図6)
帽針頭大より扁豆大,円形ないし楕円形,常色ないし淡褐色の扁平な小局面が,顔面,手背等に播種状に発生する.少年期,青年期に多い.一般に自覚症状を欠くが,時に相当な掻痒と,紅色調を呈することもある.
1個の親疵のまわりに,児疵が多発したり,掻破痕に一致して線状配列をとつたりすることもある (Koebner現象)
(5)尖炎コンヂローマ(図7)
主として陰部に生ずる乳頭状の腫瘍で,発生原因が,尋常性疵贅や,扁平涜贅と同一ウイルスによつて起こることが確認されている.
帽針頭大以上の凹凸不正,乳頭状をなす腫瘍で軟かく,粘膜又は分泌物を有する皮膚に発生する.男子では,包皮,冠状溝,尿道口,女子では,大小陰唇の内面,尿道口,膣部,子宮口に,その他,肛門,鼠径部,膀窩等にも見られる,分泌の多い場所では,灰白色に変じ,悪臭を放っが,分泌物が少ない揚所では,乾燥して角質増殖する.
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