特集 外科外来マニュアル
私の治療
各論—頭頸部
外耳瘻孔及び耳介周辺の嚢胞
若井 淳
1
1東京警察病院形成外科
pp.628-630
発行日 1982年5月20日
Published Date 1982/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407207958
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
外耳瘻孔
□概説
耳介に関する先天性異常の中で,特に多いもののひとつといわれている.東洋人では10%内外との報告があり,白人より有色人種の方が出現頻度が高く,また,遺伝的関係有りと述べている人もある.
耳輪上行起始部前方に小孔があり,乳白色クリーム状の分泌物が排出される.両側性であることが多いが,片側性のこともある,発生学的には,耳介発生の原基である鰓弓,鰓溝の融合不全に由来するものとされている.
本疾患は,崎型疾患であるから,他の晴型を合併する揚合も当然考えられ,実際に側頸痩の合併がしばしば報告されているし,他の部位の崎型疾患が合併する可能性も有している.
本疾患の多くは,そのまま放置され無症状に過す揚合が多いが,時に湿疹をおこして康燗状になつたり,感染により腫脹を来し膿瘍状となつて,いつまでも炎症症状を繰返して厄介極まりないこともある.疲管の出口は狭いが,かなり細長く耳輪上行脚を耳介軟骨に沿つて下降し,外耳道軟骨部の上縁にいたるものが殆んどであるが,まれに中耳にまで達する大きな凄管もある(図1).
Copyright © 1982, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.