カラーグラフ・3
胃と膵癌との関連—胃X線検査における膵癌スクリーニング
高木 國夫
1
,
竹腰 隆男
2
,
大橋 計彦
2
,
丸山 雅一
2
1癌研究会附属病院外科
2癌研究会附属病院内科
pp.315-319
発行日 1982年3月20日
Published Date 1982/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407207905
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
胃と周囲臓器との関連から,周囲臓器による胃に圧排所見を示すことが多く,Eatonらは表1の如く,種々の臓器をあげている.この中で,胃に最も密接に関連しているものは,膵であつて,膵疾患の中では,最も診断が困難で,予後が不良なものは,膵癌である.この膵癌による胃の変化は,成書にもあげられているが,とくに胃外性圧排所見である.この変化は,図1の如く,3カ所に大別される.この中に我々がここ数年間膵癌の診断とくに早期発見のために注目している部位は,胃体部の大小彎の変化である.胃体部小彎の胃外性圧排像(A)は,膵体部癌の発見の手掛りとしてきわめて重要であり,また,膵頭部癌においても時々みとめられている.
現今では,膵に対して新しい検査法が関発され,とくに,超音波検査(US)やComputed Tomography(CT)の有用性がのべられているにもかかわらず,私共の経験からは,切除不能な直径4cm以上の膵癌では,US,CTの診断は有用であるが,直径4cm以下の切除可能な膵癌では,診断が困難であり,とくに,直径2cm以下の小膵癌では,膵癌そのものを膵の異常所見としてとらえられないか,たとえとらえられても,読影が困難である.
Copyright © 1982, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.