カラーグラフ・11
限局性膵病変と膵癌
高木 國夫
1
,
竹腰 隆男
2
,
大橋 計彦
2
,
丸山 雅一
2
,
金田 浩一
3
1癌研究会附属病院外科
2癌研究会附属病院内科
3癌研究会附属病院放射線科
pp.1757-1762
発行日 1982年12月20日
Published Date 1982/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407208186
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本カラーグラフ「膵癌」の連載も今回で終るが,呈示した膵癌症例はそれぞれに種々の点で意義があつたかと自負している.とくに膵癌の早期診断によつて治療成績のきわめて不良な膵癌になんとかアプローチしようと心掛け,ここ数年に経験した膵癌の中から選んだわけである.膵内に限局し,転移の無い早期膵癌を過去4年間に9例経験し,直径2cm以下の小膵癌を2例,供覧し,またわれわれが膵癌のERCP分類でⅢ型に分類した粘液産生癌を供覧した.これら症例の発見されるきつかけは癌の主膵管狭窄にもとづく二次的膵炎を,アミラーゼ高値ならびに胃X線所見における胃外性圧排像でチェックされたもので,ついでERPによつて,主膵管の異常が発見され,血管造影,CTによつて,切除可能性が検討された.とくに直径2cm以下の小膵癌症例では,時に主膵管の異常が良性か悪性か鑑別に苦しんだこともある.小膵癌にみられる限局性膵病変が検討されれば,必然的に,良性の限局性膵病変が問題になる.われわれも,膵癌を疑つて切除した良性限局性病変も経験し,その病変が限局性膵炎のみでないことを報告した(胃と腸,17:1065,1982).このように癌を疑つて良性であつた病変は,今後膵の良性・悪性病変の鑑別にきわめて重要な役割を果すものである.従来から膵の異常所見に対して,積極的に切除して,組織学的な裏付けを行う態度に欠けていたきらいがある.胃癌,とくに,早期胃癌の検討が始められた1950年代から60年代に,癌を疑つて切除し,組織学的に良性病変であつた症例が少なからず経験され,良性悪性の病変の鑑別に役に立ち,ひいては早期胃癌の診断進歩に貢献した,
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