Japanese
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特集 食道静脈瘤手術
予防的手術は必要か
Is prophylactic surgery for esophageal varices justifiable?
井口 潔
1
Kiyoshi INOKUCHI
1
1九州大学医学部第2外科
pp.171-174
発行日 1982年2月20日
Published Date 1982/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407207884
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はじめに
「食道静脈瘤に対する予防的手術は必要か」という命題は,現在,欧米においては一般には未だ,馴じまないものであるが,わが国では,議論の対象になり得るものと思われる.欧米においては,食道静脈瘤に対する手術法として一般に門脈圧下降手術が用いられていることもあつて,その治療成績は必ずしも満足すべきものでなく,とくに肝脳症候群の発生率等と関連して,予防的手術が直ちに考慮される状態ではない.この点,わが国では直達手術や,選択的シャント手術により,門脈圧を下降させない手術が用いられ,手術死亡率も低率で,後遺症も少ないので,吐血の既往のない食道静脈瘤に対して,予防的に出血防止手術を行うことの是非論が成り立つのであり,とくに内科医との協力の下で行わなければならない外科治療の立場において,この問題は,積極的に取り組まなければならない課題の一つであろう.
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