Japanese
English
特集 上部消化管出血—保存的止血法のトピックス
緊急止血のための薬物療法
サイメチジン
Cimetidine in the management of upper gastrointestinal hemorrhage
武藤 輝一
1
,
田宮 洋一
1
,
松原 要一
1
Terukazu MUTO
1
,
Yohichi TAMIYA
1
,
Yohichi MATSUBARA
1
1新潟大学医学第1外科
pp.1097-1100
発行日 1981年7月20日
Published Date 1981/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407207750
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はじめに
ヒスタミンに似た構造式をもつburimamide や metiamideは実験的かつ臨床的にかなりの胃酸分泌抑制効果をもつことが明らかであつたが,強い副作用がみられたため,やがてcimetidine(サイメチジン)が作られた.cimetidineにも多少なりと副作用がないわけではないが,慢性胃・十二指腸潰瘍に対する治療効果には著しいものがあり,欧米ではTagametと呼ばれ広く使用されている.cimetidineなど一連のhistamine H2receptor antagonistは強い胃酸分泌抑制作用とともに慢性及び急性胃・十二指腸潰瘍からの出血に対して止血効果を有することが知られている.本邦でもいくつかの施設で使用されその効果が報告されている.市販される日も近いと思われるので文献上の報告に著者らの経験を加え概要について述べたい.なお,cimetidineよりも胃酸分泌抑制効果が強いといわれるrantidineも検討されつつあるが,上剤の上部消化管出血に対する治療効果についての報告は稀である.またcimetidineの性格から胃・十二指腸潰瘍を合併しない食道静脈瘤破裂による出血に対して使用されることはない.ここでは慢性胃・十二指腸潰瘍からの出血とストレス潰瘍や急性胃粘膜病変(AGML)と呼ばれるものを一括した急性胃・十二指腸潰瘍からの出血に対するcimetidineの効果について述べる.
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