Japanese
English
特集 晩期癌患者のcare
対症療法の実際
出血管理
Conservative treatment of massive bleeding in the terminal stage of gastric cancer
小川 道雄
1
,
神前 五郎
1
Michio OGAWA
1
,
KŌSAKI Goro
1
1大阪大学医学部第2外科
pp.337-340
発行日 1981年3月20日
Published Date 1981/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407207627
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はじめに
晩期癌のターミナル・ケアは治療にあたる側のもつ癌患者に対する治療方針,あるいは患者とそれをとりまく周囲の考え方にもかなり影響され,画一的なものとはなりがたいことが多い.ただ出血は患者に対する心理的な影響が大きく,また外科医には失血死だけは避けたいという願いがあり,出血対策は晩期癌患者の救急処置としては重要な位置を占めている.
晩期癌患者の出血は胃癌患者にもつとも多くみられる.菅野ら1)の報告では癌患者の消化管急性大量出血35例中の16例(45%)が胃癌患者であり,しかも大出血の場合その止血がしばしば困難なものは胃癌からの出血である.もちろん胃癌の場合,癌病巣からの潜出血,持続出血の方がはるかに多いが,晩期癌患者のこのような出血は,結局は輸血によつて補うほかない.従つて本稿では晩期胃癌からの大量出血の管理について具体的に述べ,あわせて晩期癌患者の出血傾向の対策についても触れてみたい.
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