Japanese
English
特集 晩期癌患者のcare
対症療法の実際
呼吸管理
Practive respiratory care in terminal stage of cancer patient
大貫 恭正
1
,
新田 澄郎
1
,
仲田 祐
1
Takamasa OHNUKI
1
,
Sumio NITTA
1
,
Tasuku NAKADA
1
1東北大学抗酸菌病研究所外科
pp.334-336
発行日 1981年3月20日
Published Date 1981/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407207626
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はじめに
いわゆる呼吸障害が,大気中の酸素分圧の低下によるものから,末梢組織のガス交換不全に到るまで,原因が種々あるごとく,晩期癌患者の呼吸障害の原因もさまざまである.しかも,幾多の要因が絡み合い,一つの臨床像を呈するに到ることが少なくなく,現在現われている呼吸障害の原因を明確に把握することも困難である場合が多い.われわれは,晩期癌患者の呼吸障害に対しても,他の患者群と同様に原因に則した治療を行なうよう心がけているが,最終的に,癌という現在のところ動かすことの出来ぬ原因に突き当り,患者に対する侵襲の割に成果が上がらないことが多いのが,現状である.しかし,それ故に,患者の病態を可能な数少ない検査により,正確に把握し,患者の最小限の負担で,最大の効果を期待出来る処置が必要であると思われる.
晩期癌患者の呼吸障害の主たるものは,①呼吸筋の低下,種々の反射低下などによる喀痰貯留,誤嚥,②低栄養,②麻薬などによる呼吸中枢機能の低下,④感染,⑤肺水腫,あるいはARDSと呼べるもの,⑥胸水貯留,など挙げられ,それぞれ絡み合い,一種の悪循環となつている場合が多い.それらの原因に対し,われわれが,日常臨床において,どのように対応しているか述べてみたい.
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