Japanese
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特集 晩期癌患者のcare
対症療法の実際
疼痛
Management of pain in terminal cancer patients
水口 公信
1
Kiminobu MIZUGUCHI
1
1国立がんセンター麻酔科
pp.319-323
発行日 1981年3月20日
Published Date 1981/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407207622
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はじめに
癌の診断・治療に大きな進歩をとげているとき,晩期癌のいたみ(苦痛)にどのように対処すべきかを検討することは重要な課題の一つである.癌に起因するいたみは腫瘍の直接浸潤,圧迫,破壊,癌の治療に関連した身体的いたみと癌に対する不安,手術切除・切断に対する恐怖,死などに対する情動的ないたみに分けることが出来る.従つて治療には薬物治療,神経ブロックなど身体的ないたみの除去と身体が醜くなる,死に対する恐怖,財政的・社会的・家族的な問題など精神的いたみにも十分な配慮をしなければならない.最近Brompton-mixtureであるモルヒネ経口投与法が癌のいたみの制御に有効であると報告されている.元来,モルヒネは脳幹を含む脳,脊髄レベルの下行性抑制系を刺激し,いたみの信号を遮断し,あるいは変調する作用をもつが,一方,不安や絶望感を柔らげ,いたみの反応を変えるからである.さきに著者らは子宮頸癌をとりあげ,いたみの様相,脳波,筋電図バイオフィードバック療法,モルヒネ経口投与の有効性を論じた.今回は肺癌患者のいたみをとりあげ,晩期癌患者の除痛方法をのべ,モルヒネを主体としその有用性と問題点を考えてみたい.
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