Japanese
English
特集 胃癌のAdjuvant Chemotherapy
局所化学療法:胃癌の腹膜播種に対する制癌剤腹腔内投与
Intraperitoneal chemotherapy for the peritoneal dissemination of gastric cancer
中島 聰總
1
,
小鍛治 明照
1
,
野浪 敏明
1
,
梶谷 鐶
1
Toshifusa NAKAJIMA
1
1癌研究会附属病院外科
pp.213-219
発行日 1981年2月20日
Published Date 1981/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407207607
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はじめに
胃癌が原発巣から周辺に向つて進展していく経路として直接浸潤,リンパ行性転移,血行性転移および腹腔内播種の4つを挙げることができる.前二者はある程度まで手術的に切除が可能であるが,後二者は一般に手術の対象となることが少ない.胃癌の非治癒手術の理由として腹膜播種の頻度が最も高いのは周知の事実である.また肉眼的に治癒手術とされた場合でも,腹腔中遊離癌細胞は13〜16%にみとめられ,腹膜再発の原因をなしている1,2).こうした遊離癌細胞は高い生物活性を有し3),また細胞診陽性症例は陰性症例に比し明らかに予後が不良であり4),治療上特別な配慮が払われる必要がある.このような腹膜播種のある症例あるいは潜在的前段階にある症例に対して如何なる治療方針でのぞむべきであろうか.
まず腹膜播種のある症例で胃切除を施行すべきか否かが問題となるが,未だ意見の一致を見るに到つていない.著者らは技術的に可能であるなら,reduction surgeryとしての胃切除の意義はあると考えているが,この点については別稿にゆずることとする.
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