わが教室自慢の手術器具・10
伊藤式胃縫合器
伊藤 健次郎
1
1千葉大学医学部第1外科
pp.1290-1291
発行日 1980年9月20日
Published Date 1980/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407207512
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胃縫合器にはペッツ以来,その改良器械が多数あり,その使用目的により,それぞれの特長をもつている.本縫合器は胃の幽門側切除に用いるものであり,胃癌などで広汎切除を要する場合にも便利である.なお本器は縫合器,圧挫鉗子,有棘胃鉗子,特殊剪刀よりなつている.
鉗子型の本縫合器(図1)を切離線にかけ,柄部の止め金をしめ,適切に残胃側断端を圧挫し,ついで小彎側を越えた本器の尖端部を圧挫鉗子でしめ,縫合線部の圧挫を完成する.他の縫合器と同様,適当な圧挫をすることが,完全な器械縫合をするには必要である.しかし本器の特長は縫合線より末梢すなわち切除胃側は圧挫がかからないことである.図1でみるように本器は縫合部と柄部が30゜の屈曲があるので,亜全剔のように小彎側を噴門直下から切離するのには極めて用いやすい.
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