特集 癌のリンパ節郭清をどうするか
膵臓・胆道
基調論文—膵臓・胆道
斉藤 洋一
1
1神戸大学医学部第1外科
pp.685-693
発行日 1980年5月20日
Published Date 1980/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407207436
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はじめに
胆道系ならびに膵の悪性腫瘍に対する手術成績は他の分野に比較して極めて悪い.これらの治療成績を計るためには(1)早期診断,(2)術前術後の管理,(3)手術手技とくに根治的手術の遂行にある.(1)については選択的腹腔動脈撮影法,逆行性胆膵管造影法,超音波診断法,CTなどの形態学的診断法やCEA,POAなど免疫血清学的診断法の導入にもかかわらず,いまだ十分とは言い難い.(2)についてはPTCD,TPNなど黄疸や栄養に関する前処置,後処置のため今日では手術直接成績の向上はかなり認められている.(3)については従来根治手術例数が少ないことや全国的に共通した取扱い規準がなく,各施設で行なわれた根治例もその意義付けに不満足な点がみられていた.しかるに最近取扱い規約制定の動きや一施設でも多数の根治例を保有するようになつたことなどから次第にそれらの分析が試みられて来た.今回は自験例を中心としてその根治性向上のためのリンパ節郭清を如何にすべきかという点に目標をしぼつて論じてみたい.
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