Practical Postgraduate Seminar・25
外科外来における処置と小手術のポイント—その2
池永 達雄
1
,
樋上 駿
1
,
沢田 寿仁
1
1虎の門病院消化器外科
pp.86-92
発行日 1980年1月20日
Published Date 1980/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407207357
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炎症性疾患の処置と小手術
A.毛嚢炎・癤・癰(folliculitis, furuncle, carbun—cle8,15)
ブドウ状球菌による皮膚および皮下の感染で,毛嚢に限局しているのが毛嚢炎であり,その炎症が進んで毛嚢周囲の皮下組織に及んだのが嚢である.項部や脊部で皮膚と筋膜の間に強固な線維性の隔壁がわたつている部位で,炎症が限局せず近隣の毛嚢数個が一度に炎症をおこした場合には癰と呼ぶ.近年これらのひどい皮膚炎症性疾患を外来診察室でみることは少なくなつてきているが,糖尿病のある人,衰弱している人などにみられる.
毛嚢炎は毛孔を中心として黄色の小膿疱を形成し,有髪部,顔面が好発部位で,睫毛に発生した毛嚢炎を麦粒腫という.たいした処置をしなくても自然になおるが,小膿瘍を形成した場合には,注射針または尖メスで膿疱の頂点をはねるようにして切開する.局所麻酔は,麻酔薬を注射することの方がかえつて痛むので,通常行なわない.
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