Japanese
English
特集 成分輸血
成分輸血の実際〈適応,投与法,臨床効果〉
赤血球輸血
Erythrocyte transfusion
二之宮 景光
1
Kagemitsu NINOMIYA
1
1東京都立府中病院外科
pp.325-332
発行日 1979年3月20日
Published Date 1979/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407207121
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
赤血球輸血の普及は未だ不十分ではあるが,その歴史はさほど新しいものではない.全血輸血によつて発熱その他minorではあるが副作用を認める症例や,将来臓器移植を予定している患者に対してbuffy coatを除去した赤血球の輸血は10年以前においてもルーチンに行なわれていた.赤血球輸血を含めて成分輸血の発展をもたらしたものは,分離装置の改良もさることながら,プラスチックバッグの採用が決定的な役割を果たしている.米国ではFenwalなどの有力なメーカーによつて一連のプラスチックバッグ製品が昭和30年代後半には市販されていたが,夫々のバッグの容量が450〜500ml採血の米国の事情に合せてあつたために日本ではほとんど利用できず,漸く近年になつて国内メーカーにより日本の実情に即したバッグが提供されて普及し,さらにダブルバッグ,トリプルバッグの利用で密閉の系統のまま処理できることがガラス瓶使用の際の汚染の危険を防止している.
さらに,赤血球輸血そのものの法的規制に関しても有効期限が血漿除去後24時間と制限されていたものが,ACD保存全血と同様に21日間と延長許可されたことが一層の普及に拍車をかけたこととなつた.
Copyright © 1979, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.