外国文献 一般外科,化学療法
輸血赤血球の運命,他
pp.153-159
発行日 1962年2月20日
Published Date 1962/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407202863
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アイソトープFe59で調べたのでは不完全で,理論的にはN15で見るのがよいが,これは高価非実用的で,ふつうCr51を使うことになる.Na2Cr51O4を静注して42日後の脾Cr51活性度は4日目の5倍になるから,赤血球のこわれた部にCr51がたくわえられるとおもわれる.著者はイヌ赤血球をCr51で印し,輸血された赤血球運命をCr51で追求した.フェニルヒドラジンで赤血球をこわすと,イヌ循環血球量は数日激減するが,その後ははね返つて来る.しかし循環Cr51放射能は激減したつきりでリバウンドを示さない.一度放出されたCr51はFe59とは異つて再び血球に入ることはないのであろう.脾剔をしておいてもこの関係は変らない.Cr51は赤血球が生きている限り付着しており,死滅すれば急速に離れて再び赤血球に入ることはない.それで赤血球の生存を知るのにCr51が適切であろう.Cr51を印した赤血球がここに死滅しやすいという所見はない.こうして輸血された赤血球は4〜42日の生存を保つらしいが,これは新に採血してCr51をつけ,すぐ輸血したものであるから,臨床的な新鮮血輸血に近いものとおもわれる.
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