臨床医からの質問に答える
輸血のトリガー値―赤血球輸血は?
長井 一浩
1
1長崎大学病院細胞療法部
pp.235-237
発行日 2012年3月1日
Published Date 2012/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543103485
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
今日の医療において,赤血球輸血は貧血患者や出血性ショック患者に対して,その組織への酸素供給能を補充,改善するための主要な治療手段とされている.
輸血用血液製剤の主体は,献血制度を基盤とした同種血液製剤である.輸血療法が本質的には補充療法であり,献血者数が伸び悩んでいる昨今の状況に鑑みれば,医療機関におけるその適正な実施判断が強く求められる.また実施に当たっては,同種製剤故の血液媒介感染症や同種免疫など数々のリスクは依然完全には回避できない状況であることも十分に考慮されるべきである.したがって今日では,赤血球輸血の過剰・不適切な使用を抑制,回避するために,数々の臨床研究のデータを根拠としたガイドラインやトリガー値が設定されている.
本稿では,赤血球輸血のトリガー値に関する現況を解説し,今後の課題を展望する.
Copyright © 2012, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.