今月の主題 輸血の実際と血液製剤
輸血(赤血球輸血)に際しての基本的ルール
雨宮 洋一
1
1自治医科大学・輸血部
pp.552-558
発行日 1989年4月10日
Published Date 1989/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222383
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
赤血球輸血は,危険な状態が起こり得るまでに循環血液量が減少した場合に循環系の安定化をはかるため,および血液の酸素運搬能を改善し急速に進行する低酸素血症を防止させるために行われる.患者ヘモグロビン(Hb)量をただ気ままな値に上昇させる目的で行ってはいけない.したがって,単なる手術行為や,無症候性貧血では適応にならない.
輸血の是非の決定は,患者の組織における酸素要求量に基づいてなされるべきで,実際には,酸素摂取量,血流状態,Hb量,Hb-酸素結合性などの諸因子から組織への酸素の運搬と供給能が十分であるかを検討すると同時に,患者の全身状態が安定か不安定かの臨床的判断とを総合して行われる.
Copyright © 1989, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.