今月の主題 臨床家のための輸血学
血球輸血
赤血球輸血
武藤 良知
1
1自治医大・輸血部
pp.336-337
発行日 1979年3月10日
Published Date 1979/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402215790
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成分輸血について
「輸血」というと,貧血改善,全血(保存血}輸血を連想しがちであるが,現在すすめられている「成分輸血」1~3)という考え方を理解し実践するには,まずこの連想を断ち切る必要がある.成分輸血とは,血液を赤血球,白血球,血小板,血漿などの各成分に分け,患者が必要とする成分のみを輸血することである.その利点としては,
1)必要な成分を濃厚に大量投与できる
2)不必要な成分の輸血により起こる可能性のある副作用の予防につながる
3)血液を有効に利用できる
ことなどがあげられる.
成分輸血の目でみると,現在行われている全血輸血の80%は赤血球輸血で代用でき4),赤血球輸血の占める割合からその医療施設のレベルがわかるとさえいわれている.新鮮凍結血漿の使用が激増している現在,わけもなく全血輸血に固執することは,限りある血液の円滑な供給に支障をきたす原因となることを銘記し,輸血の適応の決定を慎重に行うとともに,赤血球製剤(赤血球輸血)をもっと活用する必要がある.
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