Spot
"ショック"で最近考えること
岡田 和夫
1
1帝京大学医学部麻酔科
pp.89-92
発行日 1979年1月20日
Published Date 1979/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407207093
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
□ショックの定義
歴史的にみてショックの定義はいろいろの説が示された.生体が侵襲をうけた際の反応を重視した立場がLaboritらフランス学派により強調されたし,マクロの血行動態の異常,さらには微小循環での異常を重視した考えも示された.これらをまとめて"急激な重要臓器の灌流低下"とすることができるが,組織はこのための重篤な酸素欠乏とアシドーシスという異常環境にさらされてくるが,これを修飾しようと中枢神経系,内分泌系機能の変化もみられる.すなわちショックは綜合して"neuro-endocrine-vasculo-cellular concept"と定義することが最も適していよう.防御反応として交感神経,副腎髄質よりのアドレナリン,ノルアドレナリンの分泌増加,視床下部—下垂体—副腎皮質系によるコルチコステロンの上昇があるが,これらも過剰反応となると生体には有害となるのである.
このショックを進行させる最も有力な因子としてカテコールアミンを重視する人は,血管収縮による組織灌流の低下によるanoxiaの増悪と,代謝面でのgluconeogenesis,glycogenolysisの亢進,lipolysis亢進による代謝性アシドーシスの発生,これを引き金とするスラジング進行,微小循環阻害となる過程をとりあげている.
Copyright © 1979, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.