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精神疾患の分類について,現在はICD-10,DSM-IV-TRに従って行われている。初めて学ぶ者にとっては最近の版の変化を見るだけで問題はないが,年配者で昔の分類から教わってきた者にとっては必ずしもピッとこない点があるのは止むを得ないであろう。以前のわが国の分類でも東京女子医科大学の千谷教授の独特のマニーの診断,さらには満田教授の非定型精神病の提唱など話題は十分あった。新たにICD分類が導入され,東京医科大学の加藤正明教授が参加して国内の委員会も作られてわが国の意見を具申していた。ICD分類は各科の診断分類が含まれ,てんかんは当時から神経疾患の項目に含まれており,なぜか精神疾患の分冊のみ各疾患に解説が入っていた。ICD,DSMが本格的に登場し,当初は慣れないためか違和感があり,慣れるように努力したが,適当にやっていた時代から,これこれの項目のうちいくつあれば特徴として取り上げるなどという方法にはなかなか慣れず,さりとて知らないと皆についていけないという時代になり,なんとなくピッとこない点が気になり,この分類を知らなければ馬鹿にされるしさりとて役に立つかどうかというようなことを言いながら時がたっていた。これらの分類は確かに診断に役立つし,いくつ症状がそろっていればというような診断法は誰でも診断を下すことができるというメリットはあるが,論じ合うような場合にはなんとなく違和感を感ずるようになっていた。以前のように科学的でないルーズな診断に慣れている者にとってはピッとこなかった。最近になって違和感が強くなってきたが,その主なる原因は時代の変化によって疾病自体が変わってきたためと思われるし,治療法も新しい薬とはいいながら使用法が簡単でなくきめの細かい注意が必要になってきたためと思われる。現在の診断法と治療法を金科玉条とせず,できれば一般にどのような変革が行われて診断や基準が今日に至ったかを一度は自分で調べて知っておく必要があると思われる。何よりも治療法がうまくいくことが第一である。最近の問題は,疾病自体が今までと変化してきているように思われ,軽症化してきたともいえるし,そうなると診断も治療も複雑になるし,経過もだらだらしてくる例が多くなるのではないかという心配も出てくる。
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