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特集 今日の癌免疫療法
癌免疫・化学療法の実際—薬剤選択から成績まで—私の処方;BCG生菌による免疫療法の実際
Practical aspects of BCG immunotherapy
鳥巣 要道
1
,
藤原 博
1
,
宮原 哲郎
1
,
原田 素彦
1
Motomichi TORISU
1
1九州大学医学部第1外科臨床免疫研究室
pp.1419-1425
発行日 1978年10月20日
Published Date 1978/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407207038
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はじめに
癌の免疫療法は,癌が生体にとつて非自己であり,生体が癌を異物として認識するという根本理念の上に成り立つたものである.本療法には大きく分けて特異的免疫療法と非特異的免疫療法とがあり,前者が上記の理念にかなつたもので,後者は免疫学的にも文字通り非特異的な療法である.癌研究に携わる多くの研究者が心血を注いでいるにもかかわらず,日常臨床において特異的免疫療法を推し進めるには,もうしばらくの時が必要であろう.
最近の免疫学の進歩により,担癌患者が現在どのような免疫応答能力を保持しているかを,いろいろな非特異的マーカーでほぼ把握することができるようになつた.その研究成果によれば,担癌患者は癌の進行とともに免疫応答能力を低下させ,ついには免疫応答能力の崩壊をきたし,いろいろな外来抗原にも反応しなくなることがわかつてきた.そこでこの低下した担癌患者の免疫応答能力を免疫賦活剤で高めることにより,進行してくる癌の発育を抑制しようとするのが非特異的免疫療法である.
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