Practical Postgraduate Seminar・13
Surgical Oncology—癌治療の総合的併用療法の基礎と臨床
中島 聰總
1
,
梶谷 鐶
1
1癌研究会附属病院外科
pp.900-910
発行日 1978年6月20日
Published Date 1978/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407206975
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はじめに
癌治療の一環としての外科手術の重要性は今日でも不変であるが,それ自体として完結した治療法ではない.たとえば外科医が治癒手術を施行しえたと判断した進行胃癌の術後5年生存率は41.8%にすぎず,症例の半数は再発死亡しているのが現状である.手術後の遺残腫瘍を生体が拒絶しうる限界は106とも6×108個(0.6gr)ともいわれている1,2).これらの腫瘍量は驚くほど少量であり,肉眼的治癒手術と判定しても,この限界を越えて腫瘍が残存することはしばしはあるであろうと思れわる.今日,これ以上手術手技の改善が望めないならば,術後の残存腫瘍に対する治療は他の補助的手段に求めざるをえない.Johnson3)は従来の治療法が何故有効でなかつたかを解析した上で,現在応用可能な治療法を総合的に併用する事(lntegrated cancer therapy)が重要であると指摘している.
以下手術に併用する補助療法の理論的根拠と適応,ならびに有効と思われる補助療法の実際について概説する.
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