カラーグラフ 消化器内視鏡シリーズ・32
阻血性大腸炎
武藤 徹一郎
1
,
上谷 潤二郎
1
,
堀江 良秋
1
,
山城 守也
2
,
日野 恭徳
2
1東京大学第1外科
2養育院附属病院外科
pp.310-311
発行日 1978年3月20日
Published Date 1978/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407206907
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阻血性大腸炎は心臓血管系に異常を有する高齢者によくみられる疾患で,低下圧発作の前駆症状に引き続いて突然発症することが多い.症状は突然の下血で,軽度または激烈な腹痛を伴う.病変部位はS状結腸,下行結腸,脾曲部が多い.発症後短時間で潰瘍化から治癒に向うものが多いが,比較的長期間にわたつて治癒が遷延するものもある.
侵された腸管の障害の程度により3つの型に分けられる.(1)一過性のものは障害の程度も軽く,ほとんど瘢痕も残さずに治癒する.(2)潰瘍狭窄型は腸壁の障害が深層にまで及んだもので,潰瘍を形成した後に瘢痕による狭窄が生じる.(3)壊死穿孔型は腸壁の壊死が深層にまで及び穿孔を起こしたものである.一過性のものには外科的治療を必要としないが.狭窄型のものは狭窄が著しい場合には切除を必要とする,壊死穿孔型のものは速かに診断して救急手術を行なう必要があるが,予後は良くない.
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