Japanese
English
特集 第9回脳のシンポジウム
主題:脳血管性障害
指定討論:実験的阻血性Myelopathyの研究
Experimental study of the ischemic myelopathy
下村 裕
1
Yutaka SHIMOMURA
1
1大阪大学医学部整形外科
1Department of Orthopedic Surgery, Osaka University Medical School
pp.1162-1163
発行日 1973年12月10日
Published Date 1973/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903594
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- Abstract 文献概要
私は平素臨床的に脊椎骨軟骨症を扱う機会が多いことから,それに由来するMyelopathyの成因を明らかにするために,1967年犬を用いて頸髄の阻血性Myelopathyを実験的に作ろうとしました。その理由は従来Spondylotic Myelopathyの成因として,血流障害説や脱出椎間板や骨棘による機械的圧迫説などが考えられていましたが,それらの大部分は臨床例や剖検例からの推測の域を出ていなかったからです。まず血流障害説の実証的根拠を得ようとして福田とともに動脈血行の遮断実験を行ないました1)。
まず椎骨動脈の結紮を行ないましたが期待したMyelopathyはできません。次に椎骨動脈内にポリエチレン・チューブを挿入して根動脈を遮断しましたが,組織学的に脊髄周辺に軽度の変性をみたのみで組織の壊死像は認められませんでした。つぎに椎骨動脈内のチューブを通ってcyanoacrylate resinを適当量注入してC1,C2間の前脊髄動脈を閉塞しました。これでは術後5週で屠殺しましたが,頸髄前1/3の脱髄と空洞形成が認められました。さらにチューブの尖端を閉鎖して側孔を穿ったものを一側の椎骨動脈に挿入してresinを注入しますと根動脈を経てpial plexusが充填されます。
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