外科医の工夫
Whelan-Moss T-tube
JAMES P. Moss
,
山川 達郎
1
Tatsuo YAMAKAWA
1
1University of Loiusville
pp.250-251
発行日 1978年2月20日
Published Date 1978/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407206900
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遺残胆管結石は,胆石症手術後困難症の内,最も頻度の高いものであり,また再手術による合併症発生率は,初回手術のそれに比し2倍も高いとされている事実などからしても,遺残胆管結石が発見されたときには外科医としても,でき得れば非観血的に再手術を行なうことなく結石を除去したいと考えることは当然のことである.1973年Burhenneは,遺残胆管結石の非観血的治療を試みるためにsoft steerable catheterを考案,良好な成績1,2)を収めたことを報告しており,1976年10月,日本においてもその有用性につき講演3)している.著者ら4-6)は,改良型胆道fiberscopeを用い,術後3週間後に行なうT-tube cholangiographyの補助診断法として,T-tube抜去後の瘻孔を介して行なう術後胆管内視鏡検査法を開発し,殊に本法が,遺残胆管結石の診断と非観血的治療上,直視下に行なうことができるために,安全性および的確性においてBurhenne's techniqueに優るものとして報告してきた.
著者の一人は,すでに54例の遺残胆管結石症に遭遇し,この内T-tube抜去時,幸いにもT-tubeとともに結石が瘻孔や乳頭形成術施行部を介して外部に,または十二指腸に自然排出してしまつた2例を含む52例において非観血的な結石摘出術に成功しているが,これらの症例は再手術をまぬがれたばかりでなく術後の経過も全く順調であつた.
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