Japanese
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特集 上部消化管大量出血
上部消化管出血源の探索—その他の検査;選択的動脈撮影法など
The study of upper gastrointestinal bleeding sites by selective angiography
佐々木 常雄
1
,
伊藤 勝基
2
,
加藤 信夫
3
Tsuneo SASAKI
1
1名古屋大学医学部放射線科
2名古屋大学医学部第2外科
3中京病院外科
pp.965-969
発行日 1977年8月20日
Published Date 1977/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407206784
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はじめに
吐血あるいは下血を訴える消化管出血の場合,出血巣の部位,原因を探求することは従来からいろいろな方法で行なわれてきている.すなわち,消化管のバリウム造影検査,内視鏡検査,開腹手術などの方法により発見されてきている.しかし,かなりの症例において出血部位不明のままの場合もある7).Crohnによればこのような症例102例において20例は出血巣不明であり,胃のX線検査により発見しうる出血巣は68〜81%程度といわれている10).
消化管出血は時としてその出血部位の診断,出血の成因診断が困難であり,いたずらに輸血を繰返しているためにDIC (Disseminated Intrava—scular Coagulopathy)を起こしたり,また試験開腹を行ない,出血点不明のまま盲目的に胃切除を行なつて,術後も継続出血があつたり,再出血を起こしたりすることが多い9).従つて出血点を見出すことはその治療及び予後に対し重要なきめ手となる.このような見地からみると,従来のようにいたずらに対症療法だけで過し,時機を失することなく,その急性期に積極的に内視鏡的検索を行なつたり,選択的血管造影,RI検査を行なつて出血点の診断を行なうことが必須不可欠な治療上のポイントとなる.
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