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特集 上部消化管大量出血
上部消化管大量出血源不確実の場合の対策
Rational approach to massive upper gastro-intestinal hemorrhage, especially to unknown origin
大久保 高明
1
,
杉山 貢
2
,
西山 潔
2
,
福島 恒男
2
,
土屋 周二
2
Takaaki OHKUBO
1
1池袋大久保病院
2横浜市立大学医学部第2外科
pp.971-980
発行日 1977年8月20日
Published Date 1977/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407206785
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はじめに
上部消化管大量出血は,日常しばしば経験するものであり,時期を失することのない迅速,適確なる診断と適切な処置を必要とする.ことに外科医にとつて,その出血源の確認は,手術時期の決定と同じく,その予後を左右する重大な因子である.近年,緊急内視鏡の著しい進歩,発達と,他の診断法の工夫改良により,その診断率は著しく向上し,早期診断,手術適応の決定に重大な役割を果している.従来X線的に診断し難かつた急性出血性胃びらん,ストレス潰瘍,浅い小潰瘍,Mallory—Weiss症候群や,他合併疾患存在時における出血源の発見も容易となつて来た.出血源が不明のまま外科的治療にゆだねられる場合は,少なくなり,一昔前のblind resectionもほとんど行なわれなくなつてきた.出血源の確実な診断があつてこそ,確実な治療を行なうことが出来るからである.
しかしながら実際,臨床上なんらかの理由で出血源の確診をつけることが不能であつたり,反覆検査施行が可能でないときや,状態不良のため検査が出来ないことも少なからず遭遇することも事実である.手術時期の決定は,その予後を大きく左右するので,実際には100%これを確診せずとも,なんらかの治療,あるいは極端な場合,手術的操作により,診断,治療せざるを得ない場合もあり,その対策に苦慮する場合も少なくない.
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