Japanese
English
臨床報告
転移が臨床的に先行した甲状腺癌症例—いわゆるoccult cancerについて
Clinical predominant metastasis of thyroid cancer;so-called occult cancer
富田 正雄
1
,
柴田 紘一郎
1
,
古賀 保範
1
,
鬼塚 敏男
1
,
迫田 耕一朗
1
,
綾部 公懿
2
,
永野 信吉
2
,
川崎 正名
2
,
中村 譲
2
,
辻 泰邦
2
Masao TOMITA
1
1宮崎医科大学第2外科
2長崎大学医学部第1外科
pp.641-645
発行日 1977年5月20日
Published Date 1977/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407206741
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はじめに
甲状腺は頸部の体表に近く存在するため,甲状腺の異常に対しては自覚しやすいことから,比較的早期に治療されることが多いとされている.しかしながら,甲状腺腫に関しては悪性良性の判定が困難であるばかりでなくBasedow病の甲状腺腫でも微小癌の潜在することも報告されている1)ことから,甲状腺腫に対する診断には慎重を要するものと考えられている.また,結節性甲状腺腫は悪化率が高いことも認められているため,長期の観察も必要となる.
一方,甲状腺の原発巣は明らかな臨床所見を示さず,転移リンパ節の腫脹が臨床的に注目される症例もあり,aberant thyroid cancerの名称で呼ばれ,臨床的興味が持たれたが,病名の上では適当でなく,その後,甲状腺自体には異常を認めない甲状腺癌はsilent diseaseとして取扱われるようになつた.
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