Japanese
English
臨床報告
外傷性腹部大動脈・下大静脈瘻の1治験例
A case report of traumatic abdominal aortocaval fistula
松本 和久
1
,
古賀 保範
1
,
馬場 尚道
1
,
内田 象之
1
,
中田 俊則
1
,
岩本 勲
1
,
前田 隆美
1
,
川嶋 望
1
,
藤井 秀治
2
Kazuhisa MATSUMOTO
1
1国立長崎中央病院外科
2国立長崎中央病院病理
pp.1353-1357
発行日 1976年10月20日
Published Date 1976/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407206607
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はじめに
腹部大動脈・下大静脈瘻を伴つた大動脈瘤は,1931年にSymeがSyphilitic aorto-caval fistulaを報告1)して以来,極めてまれな疾患とされ,1935年,Lehmanが梅毒性腹部大動脈・下大静脈瘻の手術を行なつたが,術後,15時間目に出血のため死亡させている2).1945年にいたり,Barkerが外傷性大動脈・下大静脈瘻の手術を試み,世界で初めての手術成功例として報告した3).以来,欧米で約80例,本邦で4例の症例が紹介されている.このうち,外傷性腹部大動脈・下大静脈瘻については,欧米では約10例の報告をみるが,本邦ではその例を見ないようである.著者らは,外傷性腹部大動脈瘻に続発したと推定される「腹部大動脈・下大静脈瘻」を経験し,手術により治癒せしめたので,文献的考察を加えて報告する.
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