Japanese
English
臨床報告
トロトラストによる肝癌の1症例
A case of liver cancer following Thorotrast injection
有本 重也
1
,
勝田 仁康
1
,
川嶋 寛昭
1
,
田伏 俊作
1
,
高山 勇
1
,
上山 庸弘
1
,
西川 正一
1
,
上山 健弘
1
,
内藤 行雄
1
,
山本 富一
2
,
永井 清和
2
Shigeya ARIMOTO
1
1和歌山赤十字病院外科
2和歌山県立医科大学第2病理
pp.1227-1231
発行日 1976年9月20日
Published Date 1976/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407206591
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はじめに
二酸化トリウム(ThO2)を主成分とする造影剤,「トロトラスト」(以下「ト」と略す)は,本邦では1930年から1943年項まで主に肝脾造影,血管撮影に頻繁に使用された。しかし本剤の放射線障害が指摘され,その使用が中止されて以来も多数の障害例が報告され,当時注入を受けた患者の予後調査も行なわれている.今日では放射性物質の人体に及ぼす影響の研究資料としてこれら症例の放射線障害と発癌との関係が重視されている.最近著者らは,35年前「ト」注入を受けた患者に肝癌を合併した1例を経験したので報告し若干の文献的考察を加える.
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