カラーグラフ 消化管内視鏡シリーズ・14
胃陥凹性病変の良・悪性の鑑別—その2
相馬 智
1
1杏林大学医学部外科
pp.1118-1119
発行日 1976年9月20日
Published Date 1976/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407206577
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IIcに集中する粘膜ヒダの変化
図①は角上後壁のIIcとそれに集中する粘膜ヒダの変化を示す内視鏡像である.2本の桿棒状腫大と,2本の急激なやせを示す粘膜ヒダがみられる.前壁よりの粘膜ヒダの尖端はいずれも鋭利にそがれた面となり,連続性の虫喰い像として観察される.図②の切除標本で虫喰い,あるいはやせが全周性に追跡されることが更によく理解されるが,この際粘膜ヒゲのやせを注意してみると,潰瘍の中心に向つて,やせの境界は常に凹状,concaveとなつている.これに対し随伴性胃炎にみられる粘膜ヒダのやせは,潰瘍の中心に向つて凸状,convexの形をしており,たとえ急激なやせの所見を呈していても,その尖端は凸状の丸味を有している.
図③は胃角小彎の潰瘍を示す.潰瘍周辺に狭い陥凹部がみられ,これに集中する粘膜ヒダはこの陥凹部で終つている.よく観察すると中心部に向つて尖端は丸味をおびて終つており,虫喰い像として連続性に追跡しえない.この例は良性潰瘍周囲の随伴性胃炎である.
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