Japanese
English
特集 特殊な消化性潰瘍
十二指腸球後潰瘍
Postbulbar duodenal ulcer
増田 久之
1
,
佐藤 誠
1
Hisayuki MASUDA
1
1秋田大学医学部第1内科
pp.1011-1018
発行日 1976年8月20日
Published Date 1976/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407206562
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
従来から十二指腸潰瘍は幽門輪に近いほど頻度が高く,ほとんどすべてが十二指腸球部に発生すると考えられ,ことに臨床上では球部に発生する潰瘍にだけ注意がはらわれてきた.しかし最近では臨床的にも球部から肛門側に発生する消化性潰瘍が発見され,十二指腸球後潰瘍(十二指腸球後部潰瘍,post bulbar duodenal ulcer)とよばれている.
十二指腸球後部潰瘍の存在は以前より消化性潰瘍の剖検例や手術例の報告,ことに潰瘍の発生部位の検討に際して指摘されていたものであり,1886年にHeckford1)が最初に報告している.臨床上に十二指腸球後部潰瘍が注目されるようになつたのは,欧米でも比較的最近のことであり,その主な理由は球後部潰瘍が球部潰瘍に比較して,合併症,ことに顕出血を起しやすく,潰瘍症状が非定型的になりやすく,特異のX線像を呈し,しかも以前に考えられていたほどまれなものでなく,注意すれば発見が比較的容易であることなどが判明したためである.従来わが国では十二指腸球後部潰瘍についての臨床報告はほとんどみられないが,われわれは1959年に東北大学山形内科の4例を報告し2),その後も症例を追加し報告している3).今回われわれは1971年当科開設以来の経験例を中心にして2,3の検討を加えることにする.
Copyright © 1976, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.