Japanese
English
特集 手術とHyperalimentation
手術症例よりみた高カロリー輸液の応用—腎不全合併症例に対し
Total parenteral nutrition for renal failure in surgical patients
小越 章平
1
,
小高 通夫
1
Shohei OGOSHI
1
,
Michio ODAKA
1
1千葉大学医学部第2外科
pp.460-466
発行日 1976年4月20日
Published Date 1976/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407206479
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はじめに
現在高カロリー輸液は消化器外科手術前後の栄養管理に欠くことは出来ない.われわれは,一般細菌は高カロリー輸液のボトル中では生育し難いことを知り1),カンジダ症の予防のみを考慮した簡便で,単なるカテーテリゼーションによる合併症のほとんどない安全な方法2-4)で,主に食道癌手術前後5),術後縫合不全6),肝門部胆管癌,膵頭十二指腸切除などの肝胆膵手術後7)などを中心に行なつて来た.
一方,腎不全に関しては,教室では以前より慢性腎不全患者に対する血液透析あるいは死体腎移植等による治療を行なつてきたが,急性腎不全はもちろんのこと慢性腎不全患者あるいは腎移植患者などには,尿毒症や副腎皮質ホルモン投与による胃炎やびらん,あるいは出血箇所不明の消化管潰瘍や出血などが多くみられるため経口摂取制限を余儀なくされる8-10).そのため非経口的な栄養管理は非常に重要な問題であり,高カロリー輸液への期待も大きい.特殊病態下における高カロリー輸液の組成決定には,それぞれの病態下における栄養代謝面の解明が急がれることはいうまでもない.現在われわれは各々の組成を動物実験と臨床応用と併せ検討しているが,今回は腎不全のうち特に手術と関連したものと,さらに限定されているので,これらに対する高カロリー輸液の適応について,われわれが行なつて来た経験と併せながら,現在腎不全の高カロリー輸液について,どのように考えられ研究が進められているかなどを文献からまとめてみた.
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