外科医のための生理学
肛門の生理
隅越 幸男
1
1社会保険中央総合病院大腸肛門病センター
pp.1269-1271
発行日 1975年10月20日
Published Date 1975/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407206352
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はじめに
肛門という言葉はまことに瞹眛であつて,はつきりした部位のきめがない.単なる出口としての肛門外口のみをさしたり,あるいはさらにある程度の奥行を含めたものを示す場合がある.すなわち一般には肛門といえば肛門管及びその外口を含めて考えて差支えないと思う.ところが肛門管と申しても歯状線dentate line以下の部分をさす学者と,肛門括約筋でかこまれた,より奥の方まで,すなわち粘膜面から見れば肛門柱の消失する高さ,いわゆるHerrmann線以下で,わかりやすく言えば指を入れて狭く感ずる部分全体をさしているものとがある.発生学的には直腸と肛門の境界はdentate lineであるので,前者を解剖学的肛門管,後者を外科的肛門管と称してもよく,臨床的には後者を用いるほうが都合がよい(付図).
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