Japanese
English
臨床研究
術後一過性に上昇する血清amylaseについて—isoenzyme分析の結果を中心として
Isoenzyme study on postoperative transient hyperamylasemia
池永 達雄
1
,
樋上 駿
1
,
秋山 洋
1
,
林 幸子
2,3
,
原田 紀久子
2,3
,
北村 元仕
2,3
Tatsuo IKENAGA
1
1虎の門病院消化器外科
2虎の門病院臨床化学検査部
3沖中記念成人病研究所
pp.1155-1160
発行日 1975年9月20日
Published Date 1975/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407206334
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はじめに
今までわれわれは手術後に血清amylase活性の上昇を認めると,直ちに術後膵炎と診断し,治療してきた.行なわれた手術が胆道系のものであつたり,さらに直接膵に侵襲の加わつた手術であつた場合には,なおさら術後の血清amylase活性の上昇は,術後急性膵炎として心配されてきた.しかしながら手術患者の血清amylase活性を丹念に追跡すると,正常値の上限を越えて上昇する症例はかなり多く,しかも血清amylase活性値が高値を示した症例でも,そのほとんどが急性膵炎の症状を示さず,膵炎に対する特別な治療を行なわなくても術後経過に異常はなく,高値を示していた血清amylase値もほどなく正常域に戻つてくるという事実のあることがわかつた.そして高値を示した血清amylaseのisoen-zyme分画像を検索すると,その大多数の症例において膵由来でないamylaseの増量していることが示され,術後に血清amylase活性が上昇しても,直ちに術後膵炎とは即断できないことを知つた.この興味深い事実をわれわれはすでに2,3の機会に発表してきたが1-3),今回はその後の症例を含め,得られた知見をまとめて考察を加えたい.
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