病態生理—最近のトピックス
腎不全—BUN上昇を中心に
浦壁 重治
1
1阪大第1内科
pp.604-605
発行日 1971年5月10日
Published Date 1971/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402203613
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腎不全とBUN
腎不全(Renal Failure, Renal Insufficiency)という言葉の意味する範囲はさまざまで,軽度の腎機能障害より尿毒症にいたるすべての病期を包含する場合から,腎障害が進行してもはや内部環境恒常性維持が不能となった病期に限定する場合まであって,国際的統一用語とはなっていない.
本来,腎病変の程度・広がりは連続的であるから,腎機能も病変の進行と共に連続的に低下する.したがってこの一連の変化を無理に各病期に分類しようとする試み自身にも問題があり,現状であえて定義しようとすればBUNが最も合理的な指標となる.周知のように,腎臓は窒素代謝の終末産物である尿素の主要排泄器管である.したがってBUN上昇開始は、とりもなおさずこの排泄能力が限界点に達したことを示すわけで,この点をもって腎不全の始まりとする考え方が内部環境の恒常性維持の面からも至当と考えられる.
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